玉稿激論集

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夜に駆ける

中田敦彦曰く、老いとは病気らしい。

 

老いを止めるためには、まず、食事の量と回数を減らさなければならない。豊かな先進国で暮らす我々は、往々にして食べ過ぎている。特に、肉、魚、乳製品を。こんなものを食べているから、老いるのだ。なぜか。

 

(以下フィクションです。)

 

自分の身体の中で、細胞が額に鉢巻きを巻いてトレーニングをしている様を想像してほしい。生命活動を行っている間、細胞は額に汗しながら毎日コツコツと自己鍛錬に励んでいるわけだ。すると、当然のことながら、疲れて腹が減る。だから、我々は飯を食い、細胞に栄養を補給するのだ。

 

ただ、ここで、栄養価の高すぎる肉や魚や乳製品を補給された細胞は思う。「いやー、何もせんでもマッチョになったわ」と。「わざわざ筋トレするのダルくね?」。

 

こうして、細胞はサボることを覚え、鉢巻きを外してソファで寝転ぶようになる。久しぶりに起き上がった細胞は気付く。「あれ、身体なまってね?」。こんな事態が我々の身体全体で巻き起こるとどうなるか。筋力がなくなり、あちこちを痛めやすくなり、免疫が低下する。そう、これが老いの正体なのだ。  

 

だから、老いを止めるためには、細胞にサボることなくトレーニングを続けてもらわなければならない。すなわち、適度な(←これ大事)負荷を細胞にかける必要がある。そのためには、食事の量を減らし、常に心地よい空腹感を覚えていることや、適度に運動することが、肝要だ。それが細胞にとっての負荷となり、彼らを自己鍛錬に向かわせるのだから。

 

「じゃけぇさあ、最近はあんまり肉とか食っとらんのよ。こんな生活しよったら多分150ぐらいまで死ねんわ」

 

数少ない仲の良い同期と昼飯を食いながら、僕は言う。場所はマクドナルド。テリヤキマックバーガーセット。ポテト。ドリンクはもちろんファンタグレープだ。僕はテリヤキバーガーに入っている14グラムのスライスレタスをよく噛んで食べる。

 

話はオチたけど、もう少し。

 

「肉と油っこいものを我慢するくらいなら、早死にした方がマシ」と長いことを思っていた。人生は長さじゃない、濃さだと(©️美味しんぼ19巻「食は三代?」の山岡さん)。でも、歳をとるにつれて、健康の大事さが身に染みるようになってきた。身体の調子が悪いと、明らかに幸福度(←カルトか?)は下がるからだ。そう、僕はいつの間にか、自分が馬鹿にしていた、健康に気を使って節制する大人になってしまっていたのだ。

 

最近は、会社から帰って、少し休憩したら走っている。それもこれも細胞の、ひいては僕の老化を止めるためだ。疲れるけど、続けていこうと思っている。鏡にはデブが映っていることだし。

 

老いに抗うことには、醜さがつきまとう。でも、醜さの中にだって、尊さや美しさがあるだろう。だから僕は明日も、人通りのない夜道をふくらはぎが爆発しないように気をつけながら、走る。